職場の高齢者施設に、血液検査をすると、ほとんどの数値が
基準値より低下している高齢のおばぁさんがいます。

はじめて施設に来た頃、腎機能も肝機能も、血液検査の数字はとても悪くて、
脚はぞうさんのあしのように色が悪くてむくんでいました。
医師からは、最期のひとときを静かに暮らせるようにという
お話だけがありました。

ほとんど寝たきりで、からだを少しでも起こそうとすると、
痛い痛いとしかめっ面をするので、
仕方なく食事は寝たまま横を少し向いて食べてもらいました。
そして、毎日少しずつ、少しずつ、
リクライニング車椅子の角度を起こしていきました。

元々、歌や踊りが大好きだったそうで、
歌のサークル活動の日は、歌を歌って、腕をふって
楽しそうにリズムをとっていました。
あれ?おばぁさん元気になってる??

2年たったかな、今は痛いことはなくなって、
からだを起こして車椅子に座ってご飯を食べています。

 

昨日、おばぁさんは足が痛いと言って病院に行きました。
そしたら、血液検査の結果はやっぱりよくなくて、
入院するとかしないとか…。

96歳、入院してもへこたれないであろうマイペースなおばぁさん。
病院で治療して、元気になってまた会いたい。
という思いと、本当に病院の治療が必要なのかな?という思い…。

医療は、思いだけではどうにもならないよと知らされる。

結局、おばぁさんは入院しないで施設の生活を続けています。
おはようと声をかけると、
おー はー よー 大きくお口を開けて、ゆっくり挨拶を交わしてくれる。
食事の時間、おー いー しー ねー と言いながら
楽しそうにスプーンを口へ運んでいます。

いのちのおわりの少し前の時間、家族と過ごす時間、
お口から食べることをしあわせと感じられる時間、
そういう時間を守ってあげられる知識と技術をもっともちたいです。