顎の長いおじいさん

職場の高齢者施設顎の長いおじいさんがいます。

おじいさんは、手先は器用で力もあって、
スプーンで食べ物をお口へ運ぶことが出来るけれど、
ごくんと飲み込むことは私達のようにスムーズに出来ません。
長い顎に食べ物をため込んでしまいます。
何度も何度も、ごくんと飲み込む動きを繰り返して、
やっと食べ物も飲み物も少しずつ飲み込んでいきます。

肺炎を起こして、入院をしてから食べられなくなってしまったこと。
何とかして、ミキサーではなくて、
入院前のような少しでも形のある食べ物を食べてほしいこと。
このまま諦められなくて…
家族の願いを聞きました。

おじいさんは、90代です。
もう年だからとか、思うお家もあるけれど、
おじいさんの家族は、違いました。

おじいさんの家族の願いを叶えるため、訪問の歯医者さんに相談したところ、
お口の中を毎日、アイスマッサージすることになりました。
おじいさんは、はじめおっかなびっくりスタッフにやってもらっていたけれど、
凍らせた小さなスポンジブラシを使って、棒付きキャンディーを舐めるように、
今は自分でお口のマッサージをしています。

食事中、お隣の食事の缶詰のみかんを指さしながら、
言葉はなく、こちらをじっと見つめてきました。

あれは何?と言っているのか…
うまそうだな…
きれいな色だな…
みかん食いたいな…
俺にはないのか…

みかんですよと伝えると、頷いていました。
本当は何を伝えようとしたのかな、想像が膨らむばかりです。

家族もスタッフもおじいさんを応援していますから、いっしょにがんばろう!!