支える為の嘘

「あんたの旦那は、浮気すんの?」

職場の高齢者施設で、よくおしゃべりをするお年寄りが、不意に聞いてきた。
不意打ちの質問に、笑っていたら、
聞いた本人も、楽しくなって、
「あはは」と笑っていた。

「旦那が居るだけ良いよね」と、せつない言葉が続いた。

いつも明るいこの方は、少し前に、旦那さんの葬儀に行っていた。
物忘れがあって、定まらない記憶を、言葉を変えて確認している。

「お父さん、生きているよね?げんき?」
葬儀の後から、以前は聞かなかったことを面会の度に、家族に聞くようになったという。
はじめは事実を伝えていたけれど、その度、わんわん泣いて、悲しみ落ち込んだ。
家族は決めた、次に聞かれたら「お父さんは生きている」と伝えることにした。

 

祖父は、わたしが幼い頃に、ガンを患い亡くなった。
病院と家族は、祖父へ病名を告げなかったと、あとで聞いた。
そういう時代だったのだろう。

家族の支え方、考え方は、家族によっていろいろだ。

老人ホームで働きながら、お年寄りの心の支えは、やっぱり家族なのだと強く思う。

 

わたしはアトピーと乳がんを経験して、家族の支えがあったから、今があることに感謝している。

どんな時も、支え、支えられる、家族の関係が本当に大切です。